2019年 04月 24日
吉本ばなな「キッチン」を読む。 |
一週間ぶりの投稿。特に可もなく不可もない水曜日です。ランチは”やよい軒”で”生姜焼き定食”をいただく。さて、問題は来週から始まる長いGWをどう過ごそうかという事。今のところノープランです。
吉本ばなな「キッチン」は、なんと31年前の作品。以前に読んだことのある作品だけれど、内容をすっかり忘れてしまっていた。そんなこともあり、BOOK OFFで久しぶりに目にしたので思わず買ってしまった。
内容は、大切なものを失った喪失感から、一歩踏み出す気持ちが芽生えてくるまでの、心の軌跡を感性豊かに描いた作品と言えばいいだろうか。
理不尽にも大切なものを奪われた主人公たちが、悲しみや苦しみ、心の傷を分かち合いながら、淡々と過ぎていく毎日の営みの中で、徐々に光を感じてゆくさまが、優しさを紡ぐようにモノローグのように語られる。
今思えば、この作品が世に出たのはバブルの時代。バカ騒ぎに明け暮れた時代の中で、ヘトヘトになった人たちが求めた癒しだったのだと思う。
収録されている、もう一つの短編「ムーンライト シャドー」で、主人公の女の子が、せんべつでくれる猫の鈴を、男の子がハンカチで大切そうにもらう場面があるが、その男の子の育ちや人柄が鮮明に浮かんでくるようで、好きだな。
by m-takaesu
| 2019-04-24 16:57
| 読書
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